その日、私は初めてかぶき町へと脚を運んだ(勉強サボって)。
胸をドキドキさせながら漫画の中だけだった世界を自分の足で歩く。
銀ちゃんとか居たらどうしよう・・!!
目は自然と甘味処を追い、白い髪がないかを探してしまう。
キョロキョロしながらの探索。
ただでさえ初めて訪れた町。
私の屋敷のある隣町とは違い賑やかで華々しく、人も多い。
雲一つなく気持ちいいほどの青が頭上に広がり、普段に比べて日差しも強い気がする。
シンプルな紺のTシャツに黒の短パン(箪笥にあったのテキトーに着たけどなんか高そう・・)。
黒地に白で艶やかな紋様のある着流しを軽く引っかけて(無駄に高そう!)。
自室の押入れに仕舞われていた黒のイカす下駄。
腰にはお気に入りの花吹雪が舞う扇子。
両手には「護身ですよお嬢様!」と不知火に渡された黒の手甲(忍者みたいで格好いい!)。
昼を迎える時刻の今、正直この格好は失敗したと思った・・・・・暑い。
オタクだからそれなりに多方面からネタ引っ張るけど
分からなかったらそこだけスルーしちゃってね。
神 楽 之巻
昼を食べる店を探しながら扇子で扇いでいた時に、その騒音は聞こえてきた。
悲鳴と、怒声と、鈍い音。
嫌な予感がして自然と眉間に皺が寄る。
足を動かして進めばその先に人垣が出来ており、騒ぎが喧嘩によるものだということもハッキリした。
「おい、子供が・・・」
「誰か警察・・!」
警察を呼びに行ったのか、何人かが人垣を離れ走っていく。
その背を見送って、人垣を見て、何十人もの人の隙間から偶然――あの子が見えた。
「かぐら・・?」
赤い髪、青い目、白い肌、小さな体。
ふらり、倒れる。
「っ!」
湧き上がる野次馬の悲鳴。
血の気の下がる音がする。
何かを考えることもなく、私の体は人の群れを掻き分けその中心へと入っていた。
「なにしてくれてんじゃワレェエエエ!!」
神楽は銀ちゃんの次に私の中のアイドルなんだぞぉおお!!
――ドガッ
神楽へトドメを刺そうとしていた(と思われる)オッサンを下駄で蹴り倒した。
勢いよく、力いっぱいに、恨みと怒りを丹誠に込めて、後頭部(人間の急所の一つだよ★)を狙って。
どっと私が蹴り倒した勢いそのままにうつ伏せで倒れたオッサンその1。
あ、なんか血が・・・死んでないよね?大丈夫だよね?これ漫画だもんね?
いざとなったら有り余ってるっぽい金と権力で何とかなるか・・!(お お い !)
「き、貴様何者だあ!」
「ぅわっ!」
思わず引いた体の目の前を、風を切って真剣が振り落とされた。
直ぐ隣にある“死”にスッと頭の芯が冷える。
そのまま言い表せない感情がぴくっとこめかみにキて、私の中の悪魔と天使が言った。
『死刑』
「了解でーす」
「何が?!ゲハッッ」
私に切りかかってきたオッサンその2の顔面に、真っ直ぐめり込むその刀。
刃を右足の下駄裏で受け、後は力任せに足を下ろした。
「っばか、な・・・」
捨て台詞をしっかり吐いて、力尽きたように膝から倒れたオッサンその2。
ごめんね、この下駄・・・裏に鉄板が敷いてあるんだ★(オッサンその1絶対死んでるぅ!)
「おのれ貴様あ!」
「死ねェェェ!」
さすがに仲間が二人もヤられて、残りのオッサンたちも刀を取り出した。
あと、三人。無理かもしんない。
さあどうしようかと、薄く笑んだまま唇を舐めた。
肉食獣が狩りの獲物を狙うようなその動きに、オッサンたちは勇んでいた足を一瞬だけ止める。
その一瞬で見つけた、私の足元に転がった紫色の番傘。
「っ、うらあああああ!」
刀を構え襲い掛かる三人。
私はひょいと番傘を拾い上げて、傘を広げた。
――カンッ、キンッ、カァンッ
「わーすげー・・」
予想はしていたものの、思わず漏れた感嘆の声。
夜兎特製の丈夫な番傘は刀に破られることなどなく、見事三本ともを折ってみせた。
ありえない事態に声を失い、呆然とするオッサンたち。
私は番傘を閉じて、その重さを腕に感じながらそのまま振り上げた。
「あばよ」
可愛いあの子を傷つけた罪、地獄で後悔しな(例え神楽が一方的に悪かったとしても!)
長いから次行くね、次!まだ続いちゃうんだぜ!