憑いたた!





驚いたように見開かれた赤い瞳。
ルビーみたい。
とっても綺麗。
見惚れる間もなく、その顔がサッと青褪めた。

「き、きゃああああああああああ!」

両手で顔を覆って、そのまましゃがみ込んでしまう。
乙女のような悲鳴を上げた、どう見てもお兄さん。

ええー・・?
なに?
なんなの、ちょ・・・

ここで初めて自分自身を見た。

きゃああああああああああ!!

なんで私、素っ裸?!
なんで私、半透明?!
なんで私、足がないの?!!!

「し、し、ししし死んでるからじゃね?!」

しゃがんだまま震えているお兄さんが、震えた声で言った。
あ、ああ・・なるほど。
そういえば私、さっき死んだね。
じゃあコレは・・・

「な、な、何?!おばけ?!おばけなんてないさ!おばけなんて嘘さ!」

寝惚けた人が見間違えたのさ?

「そう!それそれ!」

激しく頷く白い頭。
指と指の隙間から、そろりと涙に濡れた赤い目が覗く。

「あ」

あ。
また目が合った。
途端に硬直するお兄さん。

「ひぃっ・・」

喉の奥から掠れた最後の声にならない音を出して、ばったり。
・・・どうしよ。
失神した人なんて初めて見た。
ましてや自分を見て失神されるなんて・・・貴重な体験をありがとう。

ふわり見事に宙に浮いてしまっている自分。
半透明でいて素っ裸。
何も身に着けていない。
けれど死んでしまったと理解している所為か、羞恥心なんぞも湧いてこず。
下半身の方なんてほとんど真下の床に溶け込んでいる。
よく目を凝らせば見えてくる腰から下は形すらない。
ただ細い線が、糸みたいにスルリスルリ伸びて

床に倒れたお兄さんの背中と繋がっていた。