憑いたたたたたた!
私は何も覚えていなかった。
死ぬ直前までの私に関すること、例えば職業。
「華の女子大生アル!」
そうそう。
それと一番好きだったもの。
「僕ら・・、ですよね」
うん、大好き!
あと極めつけ、何で死んだのか。
「事故死、だな」
そう、そうなの。
その三つぐらいしか覚えてない。
記憶にない。
私の名前はどこにいったんだろう・・?
家族も友人も好きな人も、私にはいたの?
頭に修正液でもかけられたみたい。
もう死んでしまった身分にはどれも必要のないこと。
だから消えちゃったのかな?
「そんなの哀しいヨ・・・」
ぐすん、涙ぐむ神楽。
哀しいのかな?
それさえよく分からない。
涙なんてどこか遠い彼方へと置き去りにしてきたような感覚。
だけど、私の変わりに神楽が泣いてくれるのは、嬉しいって分かる。
ありがとう、神楽。
「・・・こんなことぐらいお安い御用ネ」
涙を隠してニカッと笑う。
ああ、この笑顔。
これでこそ神楽!
「そうだ!姉ちゃんの名前、私がつけてあげるヨ!」
いい名案だ!とばかりにキラッキラ輝く神楽の瞳。
微笑ましいその表情、嬉しい言葉。
うん、ありがとう!!
でも神楽って基本的に中二病だから出来たらみんなで考えて欲しいです!
本気でそう思って深々頭を下げれば、神楽からブーイング。
「そうですね、一応“幽霊”なわけですから、何かそれにちなんで・・」
「おいユ、ユユユーレイとか言うなよ!こんなフランクなユーレイがいてたまるか!」
「そうネ新八!姉ちゃんはきっとアレ、妖精的なもんヨ!」
わー、私って妖精さんだったんだー。
話がどうも変な方向に進んでいなくもない。
「そうだな。これは日頃から行いの良い俺へと与えられた妖精的なアレだな」
「銀さん現実を見てくださいよ」
妖精だ!幽霊です!三人の討論は平行線を行ったり来たり。
私自身、正真正銘の“幽霊”または“おばけ”で正解だと思うんですけどー。
銀さんは怖い存在を認めたくない意地。
神楽は幽霊なんてもので私を片付けたくないっていう、なんとも嬉しい理由。
新八は全くの正論。
ねぇねぇ、ちょっと。
正直その辺はどうでもいいんだけど、ちゃんと考えなきゃダメ?