第一期  可能性




ああ、頭がいいんだな。
話を聞く限りじゃ、平和で平凡な世界に生まれ育ったようだ。

だが、頭がいい。

自分の状況を理解している。
受け入れている。
今話すべきことが何なのかを的確に、簡潔に分かりやすく話している。
嘘や偽りはないとでも言うように、真っ直ぐに向けられる目。
戸惑いながらもはっきりした口調。
本当なんだと分かった。
真実なんだ、と(例え空想話のようにありえなくても)
だからこそ聞いた。

「帰りたいか?」

自分の世界に。
そりゃ、帰りたいだろうと思って。
だが女は暫し考えてみせて、迷いもなく言った。

「帰る方法が分かってから、考える」

驚いた。
頭がいい。
肝が据わってる。
異世界にいるというのに、しっかりと立っている。
もう理解して、納得している。

望みはない。
望んだところで無駄。
望むためにこそ、その方法が必要なんだ。

ああ、こりゃぁいい。
面白い!なんて気配だけを感じたあの時に思ったが、それ以上だ。
この女には可能性がある。
助けろ、ってのもいいじゃねえか。
自分で動く気マンマンってことだろ?
ああ、ああ、いいだろう!
頭はいい。
俺を殴って平気なくらいの耐久力もある。

ま、まぁ、怒ったときの顔はちっと怖いが・・(軽くトラウマ)

「分かった。助けてやるよ」

その可能性に惚れた。