第一期 罪と罰
「お、前・・なにしてんだ!?」
「ああ、じぃ」
そこに座り込んだままで、ユーキは極自然に振り向いた。
赤い水溜り。
首と体が離れた何体もの死体。
血濡れの女。
「ミンチにしてんの」
いつもと何も変わらない笑顔すら浮かべて、ユーキは手の中の肉を潰した。
肉から溢れる赤い血が滴り落ちる。
そこにも丹念に潰された肉が幾つも幾つも転がり、血溜りに浸かっていた。
常人ならば吐き気を催し、むしろ失神すらするであろう光景。
それを作り出しているのは笑顔の女。
異常だ。
「死んじゃったから、足んない」
ぐちゃぐちゃ嫌な音を出して死体が肉になっていく。
素手でめちゃくちゃに潰されて、原形など全く分からない。
「拷問でもすれば良かった」
ぐしゃりっ。
拳を振り下ろされた頭。
「もっと苦しめれば良かった」
ぐじゅ、じゅじゅっ。
抉り出される内臓。
「もっともっと」
「ユーキ・・」
「もっと、もっともっともっと!」
癇癪を起こしたように頭が激しく振られた。
血のこびりついた黒髪がバサバサ風を切る。
「ギリギリまで死なないように!自分から死にたがるぐらいに!」
悲鳴に似た叫び。
異様だった。
異常だった。
常から年齢を疑うくらいに冷静で、淡白なユーキが・・・ここまで感情を露わにしている。
爆発させている。
「むかつく」
ぽたり。
今までとは違う音が響いた。
向けられた背が微かに震えている。
「・・・・・むかつく」
搾り出されたその声はもう、完全に泣いていた。
「守ってあげたかったのに、死んだ」
肩の震えは大きく、小刻みに痙攣しだす。
喘ぐような声。
「・・殺され、た」
そこでようやく、ジンはユーキの膝の上に力なく横たわっていたモノの存在を認識した。
血に濡れ、泥に汚れた、ケモノ。
「グレイ・・?」
呆然と、自分が付けた名を口に出した。
ユーキの友達。
ジンの友達。
グレイが、死んだ。