第一期  ○○殺し




ベル先生の、信用出来なくなりつつある講義はまだ続いていた。

「例えば虫を殺す。その場合、社会的に問題はない」

はい、ご尤も。
虫なんて誰もが一匹は殺している。
無意識でも、意識してでも。

「例えば魔獣を殺す。その場合、問題の発生は状況による」

それも分かる。
人に害を加えていて、尚且つ討伐命令なんかが出てれば一切問題はない。
だけど害もなにもない魔獣を殺す・・つまりは狩ることは禁止されている。

ハンターの仕事がそれ。

討伐すべき魔獣は討伐し、密猟者から保護すべき魔獣は保護。
ゴンの言ってた通り、ハンターってのは格好いい!
だけど、

「例えば人を殺す」

だけど、

「その場合、問題の発生は」

だけど、

「状況による」

だけど、例外もある。
この場合、分かりやすいのが奇術師ヒソカやイルミ=ゾルディック。
彼らのハンター試験に臨んだ動機、覚えてる。
ヒソカは人を殺しても大概が罪にならないから、保険に。
イルミは暗殺の仕事で国を行き来するに、あれば便利だから。

どちらにしろ、二人は人を殺すことを前提にしてハンターになった。

そしてやっぱり忘れられない、忘れちゃいけないのが・・・

「幻影旅団を知っているか?」

「え」

いつの間にか伏せていた顔を勢いよく上げた。
ベルの手には新聞。

「あれ、それ・・」

オレも同じの、買った。
今も鞄に入ってるはず、天空闘技場で暇潰しに買った新聞。
だけどまだ文字が読めなくて、放り投げた・・・幻影旅団?

「幻影旅団がデカいことをした」

新聞に目を落としたベルにつられて、読めもしないのに目線を文字に。
ハンター文字の羅列。
小さな白黒写真。

「クルタが狩られた」