皆さんコンバンワ!

オレの名前は「神代光」(光って書いてアキラだよ!)
今がイケてる十八歳ッ☆
170cmの長身に50kgちょいのスリムな身体。
ちょっと癖のある黒髪。
同じく黒い切れ長の瞳。

そんな素敵過ぎるオレの現在進行形の悩みが、この状況。

どうしてオレ、縮んでんの・・・?










     S h a l l   w e   d a n c e ?  〜夢とダンスを〜   StEP,02










いくら頬を抓っても頭はすっきり冴えているし、何度自問しても答えは出てこない。

「ママぁ、今度は杖買ってよー」

「パパ!私ペットは梟がいい!」

そうはしゃぐ異国の子供たちは、それはそれは愛らしい。

だけど、もういいんです。
もうイヤと言うほど分かりました。
ここがあの、大人気ファンタジー小説の世界、だということが。

「異世界トリップ・・・・!」

憧れはしたけど、実際に体験したくはなかった。
だって大変そうだし。ていうか実際めちゃくちゃ大変な事態だし?
確かにこの小説は大好きで、今あるこの通学鞄にも第一巻が入っているくらいだ。
だけど、ねぇ!?

「コレはないだろ・・・」

不安さに足元を見下ろしたとき、目に入ったのが洗濯板の様にペタンと潰れた胸だった。
お、オレの自慢のEカップはどこへ・・・?
ここへ来てはじめて、喪失感に泣きたくなった。
だって、(一応)女の子なんだからソコは精神的にクるでしょ!?
てか一番ショックだよっ!

帰宅途中の服・・・は部活帰りのため幸運にもジャージだったけど。
制服だったらヤバいことになってたよ・・・・「ずる、ぱさ、いや〜ん」みたいな。

靴のサイズはどうにもならないけれど、ジャージは裾を折るなりでなんとか修正。

「・・・・・はあっ」

今日ばかりは溜息だって吐きたくなる。
決して夢ではないこの世界で、どうしろと?!

ゆるりと周囲を見渡して、また一つ溜息。

「はあぁ・・・・どうしよう」

慣れてきちゃった。
今自分に拍手喝采したいくらい、気持ち的にはポジティブだ。
この不可思議で奇奇怪怪な世界が普通に感じてきてしまっている。
RPGをやり込んでいると、自然と高い適応能力を身に付けてしまうのかもしれない。
不安や混乱は一切消えて、今はゲーム特有時の冒険心と冷静さしか頭にはない状態だ。

「さぁて・・・」

もう一度、周りをぐるりと見渡して、やっぱり見覚えのある光景に眩暈がした。
だけどソコは、ご愛嬌。


「パパ!ニンバス2000買ってぇーっ」


遠くから聞こえてくる子供の無邪気な声に、苦笑とも見える複雑な表情で呟く。

「ハリポタ、かぁ・・・」

やっぱりもう少しだけ、現実逃避したいかも。
今は遠き、平和な自分の世界に。