初体験は、最悪でした。

あ。勘違いしないでくださいね。
初体験って、フルーパウダーのことですから。










     S h a l l   w e   d a n c e ?  〜夢とダンスを〜   StEP,05










何だよアレ・・・もっと楽しい感覚だと思ってたのに、見事裏切られた・・・・気持ち悪っ。
胃がぐるんぐるんして・・・・最悪。最悪最悪。

そんなオレの葛藤も露知らず、天下のスリザリン寮監様はひたすら前へと突き進んでいた。
赤いふかふかとした絨毯が敷き詰められた廊下・・・ホグワーツ魔法魔術学校内を。

正直、「い、いいの?!身元不明なこんな小娘こうも簡単に入れちゃって!」と叫びたい。
逆に怖いわ、ええ。
何かトラップでも仕掛けてるのかね・・・。
そうは思っても今はどうしようもないし、黙って追う背中を見つめた。

てか歩くの速い歩幅を考えろ

歩いた距離は大したことない。
が、ずっと置いて行かれないよう小走り状態な為、つい数分前から息があがっている。

「着いたぞ・・・・どうした、息があがっているな」

「・・・・いえ、大丈夫っス」

ニヤッと明らかに確信犯的な笑みを貰い、ハリーやロンの気持ちが初めて分かった気がした。


映画でも見たけど、それよりももっと迫力のある本物のガーゴイル像が2体。
それに向かって陰険教師が合言葉を言う。

「“ストロベリー・プディング”・・・行くぞ」

苺プリン!!

「・・・・っ」

ヤバイ、ウケる。超笑える。
セブルス・スネイプの口からこんな可愛い単語っ!

グッジョブ
G☆J、ダンブルドア!

そんなオレの(ある意味)別の葛藤にすら気付かず、意中の彼は美しく装飾された扉を開けた。



「フォッフォッフォ、ようこそホグワーツへ」

拍子抜けするほどあっさり会えたダンブルドアは本当に、小説通りの人だった。
水色の瞳は優しそうにキラキラと輝き、白く長い髭はマジで三つ編みしたくなる

「・・・どうも、始めまして」

「うむ、始めまして。フォッフォッフォ☆」

バルタン笑いはやめて・・・!
無性に幼い頃の記憶を思い出して落ち着かない。

そう思いながらも進められるがままにソファへと腰を下ろし、魔法で出された紅茶を一口飲んだ。
「魔法なんて始めて見た〜・・・つか紅茶うめぇ!」なんて1人密かに感動して。

一息吐いたところで早速お話を。
時は金なりってね(ガメツイ)。

「あの、アキラ・カミシロといいます」

まずはお名前。
日本人だもん。礼儀は大切。

「今回はダンブルドア校長先生にお話したいことがあり、お忙しい中スネイプ先生をお呼び立てしてしまいました。
 申し訳ございません!」

勢いよく言い切って頭を下げた。
まるで借りてきた猫の様。
きっと今オレの後ろで控えてる教授はそう思ってる。間違いない。
だって背中の殺気が痛いもの。

「・・・・・フォッフォッフォッフォ」

だからバルタン笑いはやめろっての。

一瞬の沈黙の後、お得意のバルタン笑い。
そしてダンブルドアは、オレが今一番驚くことを言い放った。

「アキラ、お主この世界の人間ではないじゃろ」

「え?!」

「なっ!?」

言おうとしていたことを先に言われたオレはもちろん、これにはセブルス・スネイプも仰天したようだ。
オレの後ろで突っ立ったまま不穏な声を響かせた。

「・・・それは、どういうことですかな。我輩にも分かるように説明して頂きたい」

ああ、殺気が痛い殺気が痛い

「うむ。ではまず、アキラ」

「は、はい」

「分かる限りで良い、話してもらえんか?」

ゆっくりと、落ち着かせるような口調で話すダンブルドアを見て、

「ああ、なるほど。この人になら何でも任せられそうだ」

今更ながら目の前の偉大な魔法使いを認識して、安心することができた。
ふぅっと軽く息を抜いて、肩の力も抜いて。

「全部お話します。分かる限りですが・・・その為に此処へ来たので」


奇妙なバス、縮んだ身体、自分の世界にある「この世界」のこと。
信じてもらえるかは別として、全部を話した。

話し終わった後、思っていた通りの反応を返してくれたのがセブルス・スネイプその人。

「・・・馬鹿なっ、そんな話が信じられるか!」

何となくその物言いに、アニメやゲームで海外でも大人気な某少年漫画の誇り高き戦闘民族王子を思い出した。

べ○ータ好きだったな・・・・。
あまりの殺気に軽く現実逃避。

「ぅ〜む・・・何らかの理由で時空を超えてしまった、という事か」

ワオ★
流石ダンブルドア、教授の意見無視?
ならオレもそうしとこう。長い物には巻かれておこう

「はい、そうみたいです・・・・あの、なんで、世界が違うと分かったんですか?」

そこ、まず疑問。

「ん?それくらい見れば分かる。こちらの人間とはちと身体に纏っとる気が違うからの」

「へぇー・・・」

気って何さ!
ドラ○ンボールみたいなもん?!
そんなもので分かるとは、ダンブルドア侮りがたし・・・。

無視されたからかまだ信じていないからか(多分後者)、何処か不満げだった教授も、結局は信じた。
オレが「若き日のセブルスとジェームズたち悪戯仕掛け人の青春白書」をちょいと語ってみたから★
残念ながら伝説の「○○露出事件」は彼本人の激しい妨害に遭い最後まで語れなかったけど。


「お主は魔法も使えるようだし年齢的にも合う。ホグワーツに入学せんか?」

「・・・・・・・・・・へ?」

魔法が使える、とな?

この縮んでしまった身体でなら、「もしかしたらホグワーツに入学できるんじゃ?!」と甘い夢は見た。
けれど、でも、“魔法”が使えるって何?!

「・・・貴様、気が付いていないようだが、自分自身に魔法をかけ続けているぞ」

低い声に反応し、ゆっくりと振り向く。

「へ?」

「・・・まだ分からないのか」

ハイ、分かりません。

「此処はイギリスだ。貴様は確か、日本人だろう」

眉間の皺を増やしながらセブルスが教えてくれた新事実。

「言語に不自由していないだろう」

「・・・・・・・・・・あ、ああ!?」

な、成程、気が付かなかった!
そういえば此処ってイギリスじゃん。外国じゃん。
普通に考えてみれば英語なんて数学の次に苦手な教科なのに、ペラペラと会話出来る訳がない。

てか初めて自分で使った魔法が無意識でコレって、情けないような悔しいような・・・。

「フォッフォ、理解したところで改めてどうじゃな?ホグワーツは」

「え、も、もちろんですっ!」

こんなチャンス逃す馬鹿なんていないでしょうっ!