驚いたことに、随分明るいと思っていたらこちらの世界じゃまだ朝だった。
そして向こうでは暑い8月だったのに、ここではまだ涼しい6月中旬。
さて、入学までの2ヶ月近く、どうしようか・・・?










     S h a l l   w e   d a n c e ?  〜夢とダンスを〜   StEP,06










ホグワーツの規則で、生徒は夏休み中校内に残っていることは出来ない。
ということで、オレ自身の強い希望と押しでセブルス宅に居候出来ることになりました☆

「ふっ、ふざけるな!何故我輩の屋敷でっ」

もちろんセブルス本人は当たり前だが断ったし、激しく抵抗もした。

「ちょっと一室借りるだけだから良いじゃん」

「そうじゃそうじゃ」

ダンブルドアの有り難い(セブルスにとっては迷惑な)押しも加わって。
結局、ワタクシ神代光は、セブルス・スネイプ宅で無理矢理お世話になることとなりました☆



だぼついて動き辛かったジャージと靴。
これはダンブルドアが魔法で丁度良いサイズにしてくれた。
そのうえ金に輝く鍵までくれたのだ!

「銀行の鍵じゃ、学校の物を揃えるのに使うといいじゃろ。後で“入学許可証”も送らんとなぁ」

「ワァオ☆」

全くこの人は、嬉しいことを言ってくれる。

「ありがとうダンブルドア!」

お礼しか出てくる言葉はない。



右のポケットに金の鍵、左のポケットに魔法のお菓子を入れて、身体も心も悠々に歩くオレ。
その三歩前をあからさまに不機嫌オーラを撒き散らし歩くセブルス。

その背に哀れみを感じてしまい、礼と謝罪を言うことにした。

「あの、さぁ・・・ホント最後まで迷惑かけてごめん。でも凄い感謝してるから、ありがとうセブルス!」

「・・・・・」

「・・・・・あv」

昔から、友人や親に度々言われていた言葉を思い出す。

『アキラはここ一番って時に限って一言多い!』

謝り礼を言っておいて、その言葉自体が核爆弾。
敬語を捨てたうえにファーストネーム呼び。

初めて会ったときと同じくらいの殺気を沈黙と共に飛ばしてきたが、そこは笑顔でスルー。
だって「セブルス」の方が呼び慣れてるし。
実はハリポタの中じゃ、一番セブルスが好きだったから・・・v

殺気はそのままで、再び前を向き歩き始めた大きな背。
またしても置いて行かれないよう、オレは小走りでその背を追った。



「・・・・・・・・・・でかっ」

セブルスの屋敷を見て、それしか言えなかった小市民な自分。
「フンッ」とどうでもよさげに大きな扉を開け家の中へと入っていくセブルス。

「・・・はっ!」

慌ててそれを追い、簡単に部屋の位置や使用法を聞く。
オレにあてがわれた部屋は意外と陽の入る二階のいい部屋だった。
ただ長年使われていなかったせいか、これは今日一日掃除しないと眠ることすら無理そうだ。

魔法が使えれば楽に一瞬で終わるんだろうけど、家事の類は魔法なしでやりたい。
こんなんでも家事全般は趣味だしネ☆

セブルスに言って出してもらった掃除用の箒や雑巾で部屋を磨き、汚れたシーツを洗濯。
埃を被った布団も叩きに叩いて外で天日干し。

オレがこうして奮闘している間、セブルスは地下の研究室にずっと篭っていた。


休まず身体を動かした甲斐もあり、夕方には床も窓もピッカピカ。
布団やシーツも取り入れて、部屋は見違えるほど綺麗になった。

「・・・・フッ」

めっちゃ満足。

やり遂げた達成感と心地よい疲労感。
悦に浸る間もなく、お腹からコミカルな音が一つ。

―――ぐぅー・・・

「・・・・・腹へった」

今思うと部活後に友人の菓子パンを一口齧ったきり。
ここまで口にしたのはココア、お菓子、紅茶だけという腹の足しにならない物ばかりだった。

―――ぐ、ぐぅー・・・

腹の虫が空しく鳴く。

「・・・・何か作るか」

勝手にキッチンの物拝借しちゃって

「ぅしっ!」

気合を入れて、いざ主婦の砦へっ!
と、思った途端にお客が1羽。

―――コンコンッ

「ん?」

背後のノック音に目をやると、そこには磨いたばかりの窓を叩く1羽の梟が居た。
1通の手紙を銜えて。

「おお?!」

茶に白の斑模様が可愛い、1羽の梟。
初めて間近で見た梟に感動しつつ、銜えていた手紙を恐る恐る受け取る。

「すっげぇ・・・」

本当に梟が手紙運んじゃうんだ・・・。

感慨深げに手にした手紙を見る。
黄色みがかった分厚く重い封筒に、エメラルド色の宛名。
極めつけは、紋章の入った紫の蝋での封印。
間違えなくこれは、ダンブルドアが送ると言っていた“ホグワーツの入学許可証”だった。

「ゃ・・・・やっっっっったぁああ!」

手紙片手にその場で思いっきりガッツポーズ。
と同時に役目を終えた梟も「ホォー」と嬉しそうに一声鳴いて飛び立った。
ご苦労様、ありがとうっ。

階段を一気に駆け下りて、リビングの暖炉前に配置されているソファへと腰を下ろす。
軋んだソファはふっくらとしていて、身体が少しばかり沈んだ。
けれども身体はそのまま気にせず、急いで手紙の封を切る。
中に入っていたのは必要な教材のリスト。
そして手紙が1通。
手紙はハリーのときと違い、マクゴナガル先生ではなくダンブルドア直筆の何とも嬉しい内容だった。



『親愛なるアキラ殿

  このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
 教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。
  新学期は九月一日に始まります。
                                                              敬 具

  追伸:ダイアゴン横丁へ買い物に行くときは、スネイプ教授同伴の元でよろしくお願いいたします。
      くれぐれもお金の無駄遣いをしないように。

                                                  校長アルバス・ダンブルドア』



何もかもが小説通りで、喜ばずにはいられない。

手紙を握り締め勢いよくセブルスの居る地下へと足を踏み入れる。

漏れ鍋での時のように、怒鳴られる前の先手必勝。
手紙をグイッとセブルスの顔に近づけ満面の笑みで一言。

「明日早速、よろしくぅ!」

それだけを言い残し手紙をセブルスに押し付けて逃走。

「何故我輩がっ」

ご尤もな怒鳴り声をBGMに、今度こそ腹を満たすべくキッチンへと向かった。