オレもハリーの意見に、大賛成。










     S h a l l   w e   d a n c e ?  〜夢とダンスを〜   StEP,08










どっさりと買い込んだ本は梟便で送ってもらうことにし、オレはとうとうこの店を前にしていた。


『オリバンダーの店 
――紀元前三八二年創業 高級杖メーカー』


・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・紀元前三八二年っていつの時代だ。


この店でもセブルスは外で待つという。
ローブを買う前、せがんで寄ってもらったお菓子屋さんで父子に間違えられたこと、まだ気にしてるのか。

「セブルス、気にしすぎるとハゲるぞ」

「なっ・・・」

セブルスの怒鳴り声をBGMに、オレは気合を入れて店内へ。


―――チリンチリン

ベルの鳴る音が聞こえ、杖が入っているであろう細長い箱が所狭しと置かれている。
不気味に薄暗く狭くも広くもない店。

「いらっしゃいませ」

あー・・・うん、オレもこの人、苦手だ。
オリバンダーの瞳と雰囲気を見て、ハリーの気持ちがよぉく分かった。

「ども、こんにちは」

ペコリと頭を下げる。
日本人としてコレは癖のようなものだが、西洋人には驚くことのようで。
ダンブルドアやセブルスも驚いたように、目の前のオリバンダーも少し吃驚したようだ。

「・・・日本の方、ですか。枕腕はどちらですかな?」

「右です」

あたりまえだが小説どうりの会話。
それでもやっぱり少し、口元が緩む。

体中の所々を巻尺が測り、オリバンダーは最後に「うむ」と一言だけ言って箱を取り出しに行った。

新しく見えるものから埃を被って古く見えるものまで、20箱はある量がどさっと目の前に置かれる。
オリバンダーの皺くちゃな手は一番上の箱を取り、埃や蜘蛛の巣を払いのけた。

「日本の方ならやはり、日本の木が一番でしょう」

箱から杖を取り出し、オレに手渡しながらオリバンダーは言う。

「二十一センチに桜の木、一角獣のたてがみ」

手渡され振る前に、ひょいと杖は取られ別の杖が渡された。

「三十五センチ松の木、良質で丈夫」

手渡されてはひょいと取られ、振ってはガシャンッと店内を破壊。

(・・・・・ぃ、苛々する)

最初に置かれた20箱は全て駄目だった。

「難しい・・・。二十二センチに桜の木、細かな呪文には最適」

―――ガシャ―ンッ

喧しい音と共にガラスの破片が足元にまで散る。

「・・・・・芯の方が日本のモノって、ありません?」

40箱目に届くあたりで、思いつた事をふと言ってみた。
木が日本の物という広い範囲じゃキリがなさそうだったし、個人的には早くセブルスの元へ行きたい。

「芯が日本の物・・・・・ふむ。確か“天狗”のモノがあったような」

「天狗・・・?」

オリバンダーは棚を漁り、埃の積もった古い箱を取り出した。

「二十八センチにマホガニー、鴉天狗の羽根。こいつはクセが強い」

そう言われ手にしたとき、体に風が纏った気がした。

「・・・コレだ」

何とも言えない確信を得、呟くと共に杖を軽く振る。
空を切った杖の先から、キラキラ輝くピンクと紫の光の花弁が舞い踊った。

「すばらしい!」

オリバンダーはそう言い月のような瞳を輝かせ、オレはやっと決まった杖に安堵の息を吐いた。

やっっっと終わった・・・。
ナイス提案自分!
グッジョブ自分!!

杖の代金に9ガリオンを払い、ハリーの杖より高かったことを気にしながら店を出た。
店を出た直ぐ先にセブルスの姿を見つけ、ダッと走りより抱きつく。

「ぐっ、貴様・・・」

文句を言われる前に、思いっきりぐったりと寄りかかって言った。

「オリバンダー、目が恐い。あそこには二度と行きたくないね」

「・・・・・・・・・・」

ここでも何も言わなかったので問い詰めて聞いてみると、どうやらセブルスの杖もオリバンダー店で買ったようだ。
さすがの彼も子供心に、オレと同じように恐く思ったらしい。

「へ〜、セブルスもやっぱり人の子なんだねぇ」

笑顔で言ったら無言のうえ無表情で杖を向けられた
ちょっ、普通に睨まれるよりもこっちの方が怖いんですけど?!


オレが杖を買っている間、セブルスは時間がかかるだろうと踏んで残った教材を買ってくれていた。
なんて気の利く・・・!!
もちろん現役の教師が全て選んでくれたのだから、どれも使いやすく品質の良い物。

礼を言って秤や望遠鏡、薬瓶を眺めているとセブルスが言った。

「ペットはどうする」

その声にはいかにも我輩は早く帰りたいのだという意思が込められていて可笑しい。
此処まで連れ回したし、もう陽も暮れる。

「帰ろっか」

「・・・いいのか」

早く帰りたいクセに、無駄に気を回してまた眉間に皺を寄せてる。

「いいよ。大体此処も分かったから、また今度一人で来ればいいし」

「・・・そうか」

「それに、いざとなったら・・・・・禁じられた森で賢くて獰猛な奴を2、3匹・・・?」

「・・・・・」

オレなら本当にやりかねないと判断したのか、セブルスは黙って背を向けた。

いや、冗談なんだけどね。