入学まで残り、1ヶ月。
1ヶ月ちょい前にこの世界にきて、セブルスと一緒にダイアゴン横丁で買い物をした。
朝はセブルスの屋敷を自力で掃除。
昼はセブルスを無理矢理引っ張って自作の昼食を食べる。
夜は教科書やセブルスに借りた本を読み漁り魔法の練習。
たまにダイアゴン横丁へ買い物にも行くし、ダンブルドアから誘いがあればお茶を飲みにホグワーツへも行く。
とても充実した日々を送り、この1ヶ月で魔法界のことをいろいろと勉強した。
S h a l l w e d a n c e ? 〜夢とダンスを〜 StEP,09
ホグワーツ入学まで残り1ヶ月の今日。
ハリーの誕生日であり、ハリーとハグリット、それにマルフォイ一家がダイアゴン横丁へ買い物に来る日だ。
騒ぐ胸を押さえ、今日はセブルスの昼食だけを作り置きし漏れ鍋へと足を向けた。
・・・嗚呼、居たよ、どもりの紫ターバン。
こんな所でヴォルさん(注:ヴォルデモート)に目ぇ付けられたくないからね、無視。
トムさんに紅茶を頼み、カウンターの席で足をぶらつかせながらハリーを待つ。
ちなみに、トムさんはオレが前に会った迷子の少女だと気づかなかったようだ。
気軽に「坊ちゃん買い物かい?」と声をかけられた。
髪を切っただけなのにこうも分からないものなのかと、ちょっと吃驚。
20分程待っただろうか、突然店内が騒がしくなりトムさんが言った。
「大将、いつものやつかい?」
「トム、だめなんだ。ホグワーツの仕事中でね」
瞬間顔が緩むのもそのままに、オレは声のした方を見た。
髭モジャの顔に大きな体のルビウス・ハグリッド。
その影に隠れているのは、我らがハリー・ポッターだ。
四方八方に跳ねた黒いくしゃくしゃの髪、綺麗で優しげなグリーンの瞳、丸い眼鏡。
オレが感動に心を震わせている間にハリーは戸惑いながら店の客全員と握手し、クィレルとも話をしていた。
そしてじっと見つめていたオレの視線に気づいてくれたのか、嬉しいことにハリーがこちらを見、ニコリとぎこちない笑みを浮かべてくれたのだ。
もちろんオレもニコリと笑みを返し、お近づきになるべく挨拶をする。
「こんにちは、君も今年ホグワーツ?」
ちゃらりらっちゃちゃ〜☆(イベント開始音)
ハァイ皆さんお待たせ!
魔法界の英雄、ハリー・ポッター攻略法講座の始まりだヨ!(腐
まずは基本の「ハリー・ポッター」なんか知らない、といった演技から。
たった今まで皆が「英雄として知っている」ことを思い知らされていたハリーには、そんな態度が効果覿面。
「う、うん。そうなんだ」
ほぉら見てごらんよ。
ハリーったらめっちゃ可愛い・・・!
この対応はやはり成功だったようで、ダーズリー一家やドラコの前で垣間見える腹黒さが嘘のようにたどたどしく可愛い。
「オレはアキラ・カミシロ。アキラでいいよ、よろしく」
にっこりと極上の笑み付きで手を差し出す。
「僕はハリー・ポッター、よろしくね。僕もハリーでいいよ」
頬をピンクに染めおずおずとオレの手を握り返し、笑みを返してくれる。
からかった時のセブルスも可愛いけど、ハリーのこの可愛さは母性本能をくすぐるね。
この愛らしさも直ぐに真っ黒くなるのかと思うと、どうも悲しくなるが。
「こんにちは、ハグリッド」
改めてハグリッドにも挨拶をするべく笑顔を向けた。
「お前さん、俺のことを知っているのか?」
小説の表記どうり、ハグリッドの目は黄金虫のようだった。
その目を真ん丸くし、至極尤もなことを聞いてくる。
「うん、ダンブルドアから聞いたんだ。森の番人をしていて、不器用だけど優しいって」
これは前に校長室でお茶会をしたとき、ダンブルドアが言っていた本当のこと。
ハグリッドはそれを聞いて感極まったように大きな肩を震わせ目を覆った。
「ダンブルドアがそんなことをっ・・・」
ワオ★まずいまずいまずい。
このままハグリッドが本泣きしたら、ハリーとドラコが洋裁店で会わなくなるかもしれない。
オレは慌ててハグリッドが泣くのを遮るように言った。
「ハグリッド!ハリーの買い物に来たんだろう?だったら早く行かないとっ」
「おお!そうだったそうだった!」
オレの言葉に慌てたハグリッドはハリーを急かし、急かされたハリーは寂しげにオレを見た後別れを言った。
「じゃぁまたね、アキラ!」
「あぁ、またな、ハリー!」
オレはあえてハリーと共に行かなかった。
それはもちろん、これからハリーが嫌うマルフォイ一家と会うためだ。
ハリーたちが漏れ鍋を出てから10分後、オレは意気揚々と中庭へ向かった。
上へ3、横へ2つ目のレンガを3度叩く。
開けた場所はダイアゴン横丁。
ではでは、ここからは気を引き締めていきますか。
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