なんだろう、この音・・・。
夢現にまどろむアキラの世界に入り込む、微かな物音。
小さいながらもその存在を強く。強く。強く。
―――カタカタッ、カタタッ
その音に呼ばれた気がして、アキラは目を開けた。
S h a l l w e d a n c e ? 〜夢とダンスを〜 StEP,12
少しキツめにつり上がった漆黒の瞳には、ベッドに横たわっているアキラ自身が写っている。
瞳の上、同じく黒の眉は男らしく凛々しい。
鼻筋は通っていて、その下の唇はふっくらとしているもののやはり男らしくキュッと閉じられている。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・ずばり直球モロ好みのタイプ!!w
アキラのハァトにド★真ん中なその男は、低くも良く通る美声で言った。
「はよぉ起きんかいボケェ」
「・・・・・は?」
その顔と美声でその暴言は何だよオイっていうか関西的な口調なのは気のせいでしょうか?
驚きに固まるアキラを見下ろしたまま、男は反応のない彼(彼女)を訝しむように眉を寄せた。
ムっとした、眉を寄せ唇を突き出した拗ねたようなその表情が、更にアキラの好み。
「目ぇ開けたまんま寝てるんかい。器用なガキやな〜」
「・・・・・」
ツッコムところは盛り沢山だが、とりあえずコレだけは言っておこう。
「誰だテメェっ!!」
「ツッコミが遅いねんアホォ!!」
ツッコミ返し・・・!Σ(◎A◎;)流石!
身体を起こし、宙に浮かんだ男を改めて見て見れば、やはりモロ好みのいい男。
黒髪はボサボサと乱雑で、頭の上に一つで括っている。
身長は190近くあるかもしれない。
身に付けた服は赤茶色の、少しボロボロの、着物が一枚だけ。
着物から出た手足は長く、程よい筋肉が。
体格良く、態度もデカく、威圧感もデカい。
「で、誰ですか貴方は」
「・・・何や、分からんのか」
「分からんわ」
分かる分からないで判断するということは、オレがコイツを知っているということだろうか。
何となく、知らない気がしないでもない・・・・この“侍”のような男。
「っあ!」
分かった!閃いた!
「何や何や?!」
「“バガボンドの武しゃん”に似てるんだァ!」
イノタケ先生の格好可愛いキャラにソックリぃw
「・・・・・」
「・・・・・?v」
「・・・・・」
「・・・ぃ、いや、だって、分かんないもん」
沈黙と、突き刺さるような痛い眼光に負けた。
男はそのボサボサ頭を片手でかき乱し、呆れた声を出す。
「駄目や、コイツ」
イキナリ駄目出しされちゃったよオイィィィィ!
「今日買ったやん。俺を」
「は?」
買った・・・コイツを?
この侍を?オレが?今日?
人買い?人身売買?ホスト?ペット?
「ペット!」
「(こいつ思ってた以上のアホや・・・)」
男の肩がガックリと下がった。
しゃーないなぁ・・・と、とても不本意そうな関西弁。
愛想笑いするしかないアキラと顔の位置を合わせるように、男の身体が下へと下がった。
「ええか?時間がないんや、よぉく聞け」
「うん?」
曖昧な返事を返したアキラに「不安や・・・」と一度愚痴てから、男は話す。
「今回は特別大サービス。
俺のいた店主がちぃっとの時間だけ、新しい主と話が出来るようにしてくれたんや。
俺の力が欲しいときは魔力を込めろ。
俺と話しがしたけりゃ魔力を込めろ。
たったそれだけや。お前は俺を好きなように使ったらええ」
アキラを見つめるその漆黒の瞳に、紫炎が舞った。
「ちゃぁんと覚えとけ。俺の名は―――
妙な夢を見た。
関西弁を話す、デカイ男の夢。
アキラは身体を起こし、ベッドの枕元に立て掛けて置いたソレを見た。
窓から差し込む朝日に照らされた、漆黒のソレ。
ニィっと、意地の悪い笑みを浮かべる。
夢の中、男はその“名”を告げられずに、夢が醒めてしまった。
だけど。
「分かった分かった・・・・“好きに使う”よ」
あんなに熱烈なプロポーズされて、分からないなんて言ってられないよねェ。
「よろしく―――“煉鬼丸”?」
―――・・・ガタッ
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