どうやら盗品である薬草を片手に正座させられている男。
どうやらその薬草の持ち主である仁王立ちし説教する女。
その光景を黙って傍観する少年。
この奇妙な構図を打ち破るように、アキラの背後の戸がゆっくり開かれた。
S h a l l w e d a n c e ? 〜時とダンスを〜 StEP,02
まず認識できたのは、背に感じる温かさ。
それが人の温もりだと分かり、自分が何者かに抱き締められているのだと分かった。
「ねぇねぇ、この可愛い子どうしたの〜?」
まさに鈴の音のような可愛らしいおっとりとした声と、微かな花の香り。
キュッと抱き締められた背中に胸が当たる。
デカイ・・・!!
困惑しながらも声の聞こえた方へ顔を向け、目を向けてみれば。
「あvやっぱり可愛い子だわ〜w」
そう言って花が咲くような笑み。
ふわっふわの金髪に蕩ける蜂蜜色の瞳。
アキラは思った。
あれ?巨乳の天使様?
こんなお迎えなら喜んで逝くとこ逝くよ。
天使の声でようやくアキラの覚醒に気付いたらしい二人の内、やはり男の方が行動が早かった。
「聞いてくれよエル!そいつ俺が拾ったんだぜッ!」
褒めてくれと言わんばかりに誇らしげな顔。
心なしかピンと立った犬耳とブンブン振られる尻尾が見える。
「まあ流石ねリック!」
“エル”と呼ばれた天使はその笑顔で男を褒め、更にキュッと強くアキラを抱き締めた。
ついでに「可愛い!」の一言も忘れない。
「貴方、言葉が解るかしら?名前は?」
唯一冷静な女がエルに抱かれたままのアキラへ声をかけた。
言葉はもちろん解るさ。
翻訳魔法使っちゃってるんだし。
「解ります。名前はアキラ」
「あら、魔法を・・・」
女は知的な外見通り頭が良いようで、直ぐにアキラの翻訳魔法を理解した。
その呟くような言葉に続いてエルとリックまでもが興味深そうにアキラを見る。
魔法の理解といいさっきの薬草といい、やはりこの人たちは魔法使いなのだろうか。
アキラのそんな疑問は、次のリックの言葉で簡単に打ち消えた。
「俺の名はゴドリックだ!リックって呼んでくれなっ」
「・・・リック・・・・・・・・・・ん?ゴドリック?」
アキラの聞き返すようなその声に、“ゴドリック”は元気良く頷いた。
「おう!」
燃えるような赤毛とキラキラ輝く金の瞳。
その色でさえもが彼の正体を物語っており、アキラは自分自身にツッコまざるをえなかった。
またかよオイィィィ!!
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