そこは驚くほど静か過ぎた。
鬱蒼と頭上を覆う木々から漏れる微かな日の光。
一歩進むたびに音をたてる枯葉や小枝の生きた声。
「・・・ほら、ここだ」
そう示された場所は何だか淋しくて、哀しかった。
S h a l l w e d a n c e ? 〜時とダンスを〜 StEP,04
小さな泉の周りには不気味なくらいに木も花もない。
だけど青く瑞々しい草だけはびっしりと生えていて、まだ乾かない朝露に濡れている。
「・・・ここ?」
小さく発したはずの声が思っていたよりも響いたのに驚いた。
それほどここの静寂は耳に痛い。
「ああ、ラッキーだったなぁアキラ」
「森の中でもここなら安全だものね・・・」
おどけて言うゴドリックに対し、感慨深げに言うロウェナ。
確かにロウェナが“安全”を認めるこの地に生き物の気配はない。
この森がアノ危険極まりない魔法生物の住むホグワーツの“危険な森”だというのに。
「ここはね、“月の水”なのよ」
「“月の水”??」
ゆったり笑んだロウェナの目線が泉へと向けられた。
月を写しこむ“月の水”
月が渇きを潤す“月の水”
どんなに凶悪な魔法生物であろうと、月の魔力には敵わない
月や星に生きるケンタウロスは尚更、月の神々しさに平伏す
“月の水”は花の命を喰らう
“月の水”は木の力を飲み込む
だからは花など咲きはせず、木は泉を遠巻きに育つ
命は水に溶けて月を潤し、力は水を澄ませて月を写す
水が魂を清めるのが“月の水”
水を時が流れるのが“月の水”
「こう話されているのよ、この泉は」
ゆっくりとロウェナが語った泉の話。
アキラは原作になかった新天地に戸惑いながらも、確かに確信したのだ。
こいつのせいで飛んだ気がするーっ!!
よくよく思い返してみれば、自分はゴドリックたちの前で目覚める前まで、実はホグワーツにいた。
セブルスとの楽しい夕食を終えた所へダンブルドアからお茶の誘いが。
嬉々として飛び出したところでホグワーツの赤い絨毯を踏む筈が、足は草を踏み。
「あ、れ?」
視界は反転。
水の流れる音とともに意識は闇へ流れた。
「お前のせいかー・・!」
「え、何か言った?」
「イエ、何も」
見たまえワト●ン君、此処が事件の鍵を握っているのだ。
全ての事件の現場は此処なのだよワ○ソン君!
だが現場が判明したところで、この後の対処が分からない・・!(駄目探偵)
「それで、アキラは何故ここに?」
途端優しく緩んでいた瞳をキリッと鋭くさせて、ロウェナはアキラの目を見た。
何故ここに・・・それは正直オレ自身が聞きたいところだ。
時を渡っていることは明らかで、時を渡った原因も明らか。
それなら、時を渡ることになった“理由”は・・・?
「分かんない・・・」
ポツリ、口から漏れた言葉。
その不安な声はロウェナの鋭い瞳を緩ませるのには十分で、ゴドリックとヘルガのお人よしさを擽るのにも十分だった。
「そんなに心配しなくっても大丈夫よぅ!」
「そうだぜ!お前には俺たちがいるんだからなッ!」
「・・・へ?」
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