俺は笑って君を泣かす
殺しは一種のステイタス。
いや、俺自身の存在理由と言ってもいい。
肉を引き裂き、悲鳴を聞いて、血を浴びる。
それこそが破面。
だけど何故、俺はアイツを殺さない・・・?
アイツと対峙するそのひと時は、俺を酷く興奮させる。
俺だけに向けられる強い眼。
派手な橙の髪。
やけにデカイ刀。
全てがオモシロイ。
その時殺意が興味に変わっていることに気付いた。
命令を待つなんてかったるい真似してられねぇ。
あの橙を思い出すたび扉を開く。
そしていつだったか、アイツが笑っているのを見た。
気が立つままに刀を振るい拳を振り上げて、アイツは血だらけ。
殺すべき敵。
戦うのに楽しめる相手。
殺す気にならない敵。
敵は、敵。
だからこそ、いつだって俺達は睨み合う。
憎悪と殺気が最優先。
だが笑顔でさえ、俺は欲しいと感じてしまった。
破面である自分とは、決して笑い合うことなどない。
あってもそれは、自分が求めているアイツじゃない。
それでも・・・。
死神と破面。
殺し合う。
奪い合う。
斬って。斬って。斬って。
切って。
――― 何を
身体を。
破面という鎖を。
赤い血が舞う。
刀や身体に滴り落ちる。
俺と同じ赤い血が、妙に嬉しくて。
自分が流させた血だからこそ、尚更。
鎖の切れていく音がする。
「ははっ!真っ赤だな!」
ギョッとしたあとの、不信気な眉間の皺。
強烈な鋭さを持った眼差しがなぜか、この時だけ揺らいだ。
「・・・そう、だな」
笑った。
だけどそれは酷く弱弱しく、求めていたものと違う。
自然と上がる気分。
顔が緩むのはもう仕方ない。
例えあの時見た笑顔ではなかったけれど、見たことのないその表情。
イイ。
もっと、もっと見たい。
破面“らしくない”自分を自覚しながらも、破面“らしい”考え。
もう決めた。
もう迷わない。
この橙を連れ帰る。