skylineでをして   



■その3
 【
朽木ルキアの場合】





入学式の日は、珍しく兄様が午後から休暇を取り食事に誘ってくださった。
滅多にないことに私は朝から傍目にも分かるほど露骨にウキウキし、そして式の最中、

その浮くような気分はドッと鈍い音を立てて遥か地の底へと沈まされたのだ。

「(一体・・・一体こやつが、貴様らに何をしたというのだっ!)」

隣で背筋を伸ばし、しっかりと前を見ている少年。
中学からの一番親しい友である彼は今、会場から無数に突き刺さる俗悪な視線に晒されていた。
一般的には異質であるが、彼を良く知る者にとっては何よりもキレイだと感じるその橙の髪。
制服やスーツ、髪の色も合わせて、その橙は黒の波の中で鮮やかに浮いていた。
横目をチラリ。
当事者である一護の様子を見やれば、その眉間にはいつもの倍の深い皺。
整った眉の下にあるハチミツ色の瞳は、不快さと哀しみで染まっている。

「(〜〜〜〜〜っ、許せん・・・!!)」

橙髪の少年を護るように黒髪の美少女から湧き上がった裂くような殺気に本能的に怯え、一般人のほぼ全てが露骨な視線を素早く外した。
後に、その光景を後ろ側の席からじっくり観察していた小島氏は語る。

「ナイス殺気だったよ朽木さん★」

ちなみに彼自身もまた、その少女と同じタイミングで殺気を出し後方の敵を追っ払っていた。


式後のHRで、ルキアは教室での自分の席が一護の目の前だったことにホッと息を吐いた。
これでいつでも彼のために動いてあげられる。
やはりあの視線の嵐に堪えた様子の一護を窺い見て、こやつは自分が護るのだ!と改めて認識した。
そんな時。
ふと、廊下側の一番前の席が空席であることに気付いた。
他の者はまだ緊張の抜けきらない顔で自分の席に着いている。
妙に嫌な予感がし、同じ高校となった幼馴染の馬鹿を思い出し、黒板に貼り付けられている座席表を目を凝らして見れば、やはり。

「あの、馬鹿者が・・・!」

小声で洩らした声は誰も聞き取らなかった。
今日全ての凶事からくる怒りがその空席の“馬鹿”に向けられる。
あの派手な赤髪は今でも健在のはず。
プラス、結構な長さにまで伸ばしているとも聞いた。
そしてあの無駄にデカイ図体と存在感。
式で見逃すはずがない。
ということは、今日の入学式に来ていないということで。

「(恋次ぃいいいい!)」

派手で目立つ恋次が来ていれば、きっと一護の負担も減ったはずだ。
それを思うと心中の怒りは数倍にも膨れ上がった。



「すいません遅れましたあ!!!」

喧しい音と声が同時に聞こえ、その幼馴染と久しぶりに目を合わせた時、私は確かに笑んだ。
大事な
の為に、出来る限りのことはしようではないか。









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