skylineで恋をして
■その5
【阿散井恋次の場合】
昼休みの開放的な喧騒の中、四時間座りっぱなしで固くなった体をぐっと伸ばした。
朝は担任の恐ろしさを身を持って知り(にしてもスゲエ色の髪だった)、コブの出来た頭は未だ痛む。
その担任が数学という理系で賢いイメージの先公だったことにはマジ驚いたが、
入学式のサボりと遅刻の罰で難しい問題ばかりを集中的に当てられた。
これでも俺は数学が体育の次に得意だ。
そんな俺でも苦戦する問題ばかり(つーか中学で習わなかった公式使ったぞ?!)で
・・・入学して早々に転校したくなった。
くそぅ。
「恋次!こっちに早く来ぬか!」
「お、おう」
嫌な一時間を乗り切ったかと思えば、幼馴染であるルキアからの小言。
そして・・・
「一護、紹介する。こやつは幼馴染の阿散井恋次だ。今日からお主の“騎士”になるぞ!」
「・・・はあ?」
コレだ。
何を思ったか何を考えているのか、
生真面目を形にしたような幼馴染は突拍子もない頼み(という名の脅しだった・・)をしてきた。
それが
「え・・・“騎士”?」
だ。
俺を紹介された“いちご”と呼ばれた奴(オレンジの頭だ。すげえ)はもちろん、
そいつのダチであろう男二人も袋から出したパンを銜える寸前の形で固まっている。
当たり前だ。
発言がオカシ過ぎる(後が怖くて口に出しては言えないが)。
どうだ凄いだろうと言わんばかりに顔を輝かせるルキアへ、言葉を詰まらせながら“いちご”は言った。
「訳分かんねぇ・・・どうしたんだ?」
すげえ!
このオレンジ頭すげえ!
ルキア相手にこんな事言うなんて・・!!
「うむ、だからな一護、中学の時は一人で大変だったであろう?」
え、すげっ・・・あのルキアが怒らずに丁寧な説明をしている!
「だがこのアホがおれば教師共の目はこやつに向く!良いと思わぬか?!」
「それで“騎士”って・・・オカシくね?」
「・・・そうか?」
「そうだろ」
言われて初めて「んん〜〜〜・・」と考え出したルキア。
ここまで一言も声を出すことなく様子を見ていたが、最恐の幼馴染に意見する“いちご”が俺を見たことでようやく声を出した。
「まぁ、よろしく・・?」
「あ、ああ、よろしく・・?」
お互いに何故か疑問系で挨拶を交わしたところで、それまで黙っていた“いちご”のダチの一人、小柄で黒髪の奴が笑った。
「やっと分かったよ朽木さん。要は“盾”ってことなんだね」
にこっと花が咲くようなその男の笑みに幼馴染と同じ恐怖を一瞬感じた(あ、あれ・・?)。
そしてその言葉に「おお!そうだ“盾”なのだ!」と嬉々として頷く幼馴染。
「“盾”・・・」
ああ、転校してー・・・。
問題の“いちご”はルキアの態度を見る限り悪い奴じゃあなさそうだけど、その周りの人間からは自分自身の平穏な未来が見えない。
「頼んだぞ恋次。しっかり“盾”となるのだぞ!」
「おう・・」
頷くしかなかった。
それほどにこの幼馴染は俺にとっては怖いのだから。
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