skylineで恋をして
■その8
【阿散井恋次の場合】
――ピン、ッポーン
室内に響く来訪者を告げる音。
伸びる音を聞きながら時間潰しにと見ていた雑誌を床へ放り出し、早足に玄関へと向かう。
来訪者を確認することもなく扉を開ければ、そこにはやはり一護がいた。
「よう、あがれあがれ」
「お、おう」
一護の荷物はスポーツバッグが一つだけだった。
まあたった三日間ダチの家に泊まるにそんな大荷物はイラナイし、ましてや男の荷物。
バッグ一つで事足りる。
案内するように一歩先を歩き、まずはさっきまで寛いでいた(というよりも一護を待ってそわそわしていた)リビングへ行けば、
一護は「ぅわ」と驚いたような声を出した。
「ん?どうした?」
「いや・・・」
一護は言い辛そうに言葉を濁すも、促されて渋々声を出した。
「ここ来たときも思ったんだけど、さあ・・・」
「ん」
「お前って意外と・・・・・金持ち?」
「は・・?」
一護がそう言うのも無理はなく、
恋次が一人で住むこのマンションは最近出来たばかりの綺麗で防犯の整った、いかにも高そうなマンションで。
しかも恋次の住む部屋は最上階一歩手前にあり、一護はエレベーターで昇ってきた。
そして通されたリビングはやっぱり広く、高そうなソファや大きなテレビが綺麗に並べられている。
「金持ちっつーか・・親がな、まぁほどほどに?」
「なんだソレ」
親のことは自分もよく分かっていないので、一護が納得できるような言葉が出ない。
そんな決まり悪そうに眼を泳がせる恋次の様子を見て、一護はとりあえずこの話を聞くのを止めた。
「部屋、綺麗だな・・・意外に」
「“意外に”は余計だ」
怠けがちではあるが根はしっかりしている恋次だ、学校のロッカーはもちろん自宅も(それなりに)綺麗に掃除している。
それでも一護はやっぱり“意外”だったようで、妙に感心された。
失礼な奴だと思いながらも感心する一護の目がこそばゆくて困る。
「部屋行くぞ!」
「おー」
照れ隠しに大きめの声を出してしまったが、楽しそうなその様子が少し嬉しかった。
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