skylineで恋をして
■その11
【黒崎一護の場合】
白地に淡い桜色の花が咲く。
藍の波が走り、萌黄の葉が落ちる。
「夏梨ちゃんとね、この日のために作ってたの」
そう頬を赤らめた可愛い妹たちの努力や期待を、簡単に無碍になど出来る筈もなかった。
例え隣を歩く友人が未だにこちらをチラリ見ては肩を震わせていようと、前を歩く妹たちが楽しければそれで・・・
「いいわけねぇだろ・・!」
いい加減に堪忍袋の緒が切れる。
ギンッと強く殺気混じりに睨んでやれば、
黒の甚平に下駄を引っ掛けた格好の恋次もさすがに笑いすぎたかとニヤニヤ笑いを引っ込めた。
「いや・・似合うぜ?うん」
「半笑いで言われても嬉しかねえよ」
今にも拳を振り上げそうな迫力で凄む一護も、甚平に下駄の・・というわけにはいかず。
前方ではしゃぐ妹らとお揃い
(しかも手作り!)
である白地に淡い桜、藍の波、萌黄の葉がお淑やかであり可愛くもある浴衣に下駄、の姿だった。
そして襟元には遊子がどうしても!と譲らなかった可愛い苺のピン止めが飾られている
(本当は橙の髪に飾られるところだったが、さすがに一護もどうしても!と譲らなかったために襟元へ)。
「お兄ちゃん、恋次さん、早く!」
「遅いよ二人ともー!」
一護の友人(お兄ちゃんが泊まりに行くほど仲が良い!)である恋次を妹らに紹介する際、
正直赤髪の大男に怯えたりしないかと、一護はもちろん本人である恋次でさえ心配していた。
が、そんな兄たちの危惧は無駄だったようで、
会って早々に口を揃えて「お兄ちゃん(いち兄)をよろしく!」などとお願いされてしまったぐらいだ。
「ねえ、夏梨ちゃん。この人なら・・」
「うん。隙あり過ぎるいち兄の側にこんな人いれば、安心できると思う」
「だよね!」
なんてやり取りが妹たちの間でなされていたとは露知らず。
兄は友人に「よろしく!」されたことを複雑に見ており、
恋次は恋次で「一護はシスコンで・・この子たちはブラコンか・・・」と思っていたり。
祭り特有の明るさが夜道を照らし、人の多さも増えてきた。
一護は大事な妹と逸れないようにと必死で、
恋次は赤い髪の自分と橙の髪の一護を特異の目で見てくる奴を牽制するのに必死。
だから気付かなかった。
影から一護と恋次を覗く、鋭い敵意に。
「恋次、射撃は?」
「ああ、任せろ」
構えた玩具の銃は、的を外した。
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