skylineでをして   



■その17
 【
阿散井恋次の場合】





ざざっと砂利をかき鳴らして闇から現れたその影は、荒い息のままに俺を見た。

「一護?どうしたんだお「お兄ちゃあーん!」・・あ」

止める間もなくゆずちゃんが一護に泣きながら抱き着いて、それにかりんが呆れたように溜息を吐く。

「えっ、あ、無事っ、・・あれ?」

一護は肩で息をしながらしっかり抱き着くゆずちゃんを抱き止めて、目を白黒させながら辺りを見回した。
その最中でもゆずちゃんの頭を宥めるように撫でているのは、意識しているのか無意識なのか・・さすがオニイチャン。

「いち兄!腕どうしたの?!」

俺の隣で呆れていたかりんが突然声を張り上げた。
心配と驚愕と、泣きそうなその声に驚いて俺も目を走らせる。
泣き止んだゆずちゃんも自分の頭の上にある手と逆の腕を見て、またその大きな目に涙を浮かべた。

「お兄ちゃん怪我してるッ!」

左腕がだらりと弛緩して、僅かに白地の浴衣が朱に染まっている。
夜の薄闇の中じゃ出血までは分からなかったが、
ここには神社なりの照明設備と近くの祭りから漏れてくる明かりがあった。
だからこそ、浴衣の模様とは違うその染みがはっきりと分かる。

「何だよおい・・喧嘩でも売られたのかよッ!」

妹のために飲み物を買いに行った。
ただそれだけのはずだったのに、あの時かりんと感じた嫌な予感は的中していたのか!?
怪我の具合を見ようと腕に触れたが、途端に「いっつ・・!」と一護が呻いた。

「一護、お前・・」

「やだっ、どうしよう・・お兄ちゃんが」

「遊子、大丈夫だから落ち着けって・・「おい!黒崎ッ!」え、あ!」

一護のように闇から息を切らせて現れたのは、なんと天敵ともいえる担任だった!
(数学の授業中、俺は相変わらず標的にされている・・)

「せ、先生?!」

驚いて声を上げた俺に気付いた先生は「あ?」と片眉を上げてみせ、その後直ぐに苦々しく呟いた。

「やっぱりお前もいたのかよ・・」

「反省文、もう一人追加だな」

担任の後ろからはもう一人、黒髪の男が姿を現した。

「あ!三組、の・・・」

同学年三組の担任、だった気がする教師だ。
こんな所で先生二人に見つかるとは・・つか反省文かよオイ・・・。

「あ、あの、先生・・」

一護が困ったような顔をする。
先生たちは一護を見て、一護に抱きついたままのゆずちゃんを見て、俺を見て、かりんを見て・・・
三組担任の方が口を開いた。

「黒崎、妹か」

「あ、はい!」

「あ?なんで分かる「どう見ても似ているだろうがお前の目は節穴か」・・・てめえ・・」

噂には聞いていたが・・やはりこの二人の教師、仲がそうとう悪いらしい。
うちの担任は教室じゃ見たことない位の凶悪顔で隣の男を睨みつけている。
気にした様子のない三組担任は、しれっとした顔のまま話を進めた。

「ともかく今日は帰れ。・・黒崎は家の人が医者だったな。帰ったらすぐに左腕を診て貰え」

「ぁ、はい・・「ちょっと待て!!」

戸惑ったように小さい一護の返事に被さるように、先生の声が響いた。
我慢し切れなかったのか右手で三組担任の襟を掴み、低くドスの効いた声で何やらこそこそと話し出す。

なんでてめえが黒崎の家の事まで知ってんだよ・・!

「優秀な生徒の家庭事情くらいなら大まかに頭に入っている」

だからな!ん!で!大まかに頭に入れてんだよ!

「興味があるからだ」

「っ、ああ!この野郎!話にならねえッ!」

担任は苛立った様子で立派なリーゼント頭を掻き乱し、
その原因の三組担任は「話は終わりか」などと酷く冷淡にマイペース。
二人の話の中心となっていた一護に至ってはやはり困った顔で二人の教師を眺めていた。

「送ってやった方がいいんだろうが、俺たちはまだ見回りがあるんでな・・行くぞグリムジョー」

「うるせえっ!・・・おいコラ赤ぱ・・阿散井。黒崎と妹、しっかり家まで送れ。担任命令だ」

先生に言われるまでもなく送って行くつもりだったので、俺は少々俺の呼び名の訂正を気にしながらも素直に頷く
(赤ぱ・・・赤パインって言おうとしたなこの教師・・)。
そしてチラリと、俯き加減だった一護の口元が引き締まり、笑いを堪えているのが見えた。
あ!
この
ヤロウ









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