白と黒。
たった二色の世界。
硬質なコンクリが地に犇めき、縦横無尽、呆れるほどにめちゃくちゃな世界。
俺の世界。
俺達の、世界。
ハローハロー 僕らの新世界
そいつとの会見はいつも突然で、それはいつも俺の意思と遠く離れた場所にある。
朝の登校中、見上げた青空にふらり。
昼の食事中、胡坐をかいた足元からふらり。
夜の勉強中、机に向かった無防備な背後からふらり。
主人の意思なんざてんで無視。
気の抜けるほんの一瞬を狙って現世に形作り、呆気にとられた間抜けな俺をその手で捕らえる。
抱き締めて、縛り付けて、押し倒す。
手際の良さだけは毎度関心させられる(手際だけはな!行為自体は最悪だ)
歪んだ笑みで見下ろしてくるそいつの背景は、知らないうちに真っ白な空へと変化している。
背中にあたるコンクリが地味に痛いのを、こいつはきっと知らない。
ムカツク。
縛られた両手は頭の上で万歳。
わざわざ俺の死覇装の帯で縛る辺りが嫌味ったらしい。
ムカツク。
病的を通り越して紙面のように白一色の、爪だけは毒々しく黒いその手が伸びる。
白の世界には眩しすぎるくらいに栄えた橙の髪を一房掴んで、遊ぶように離した。
掴んで離す。
意味のない繰り返し。
意味の分からない繰り返し。
「なぁ、王サマ」
信じられないくらい甘ったるい声色。
甘ったるい仕草。
甘ったるい眼差し。
そんな目で。
そんな手で。
そんな声で。
やってることを統一しろよ。
不意打ちとか、無理矢理とか、縛るとか。
そんなん、いつまで続ける気だ。
触りたいなら触ればいい。
話しがしたいならそう言え。
手順もやり方も無茶苦茶なんだよ。
馬鹿野郎。
「一護・・・お前は俺の」
―――俺のモノ。
歪んだ口元から青い舌が覗く。
犬歯がギラリ。
俺ってこんなに鋭い歯だったか?
同じようで違う俺達。
黒の俺と白の俺。
冷たい指が頬を撫でる。
白い顔が、白い髪が近づいて、肩口に埋る。
頬を撫でる手は後ろ頭に回されて、空いた片手は身体を抱く。
ぐっと強く抱き締められて、俺はこいつの肩越しに見える白い空を。
酷く穏やかな空を、見た。
「俺の王・・・・一護、一護」
まるでうわ言。
赤ん坊がそれしか知らないように、たった一つを繰り返す。
王サマ。
一護。
俺のモノ。
二人きり、二色きりに支配された寂しい世界。
ここには俺を求めるお前が一人。
ここには俺を甘やかすお前が一人。
ここには俺を愛するお前が一人。
敵はいない。
護るモノもない。
傷つけられることもない。
ただ一途に愛される。
甘やかされる。
優しくされる。
そうして俺は
殺される。
優しくて甘い、何よりも欲しかった愛情。
母の死んだあの日から、諦めてきっていた愛情。
―――コレハキット、コイツノ罠
―――ソシテ殺サレルコトノナイ、毒