片腕で一護の腰を抱えたままに学校内を悠々と歩くグリムジョー。
「っオイ!離せ下ろせふざけんなあああ!」
「あー、ハイハイ」
まさに片手間で言葉を返す男に腰を抱えられたままの一護は、羞恥・悔しさ・怒りに顔を赤く染めている。手足をばたばたと動かし暴れてみてもその強い力が解けることはないし、いくら喚いても怒鳴っても叫んでも脅してもまともに取り合ってくれない。そればかりか・・・
「ぎゃっ!?ちょっ、オイ!オイ!」
「あー、ハイハイ」
ケツ撫でんなああああ!!
腰を掴んだ手を器用に使って腹を撫でたり、空いた片手でケツを撫でたり。
セクハラの嵐。
あまりな所業に一護の目には軽く涙が滲んでいる。
「やっぱいいケツしてんなぁ、いつも見てて思ってたんだよなー」
「いつも?!」
一護の頭の中で走馬灯のように記憶が駆け巡った。
ルキアが腹をやられたときの初対面時、あと少しの時間が足りず仮面が砕けた時、何しに来てるのかただ暇なだけなのか数回現世に現れて何もせずに帰って行った時など・・・etc。
あれ?
「ストーカー?!」
「あ?どうした?」
問いながらもたいして興味ない風な変態は相変わらずケツを撫でていた。
身を襲う寒さに覚醒させられた一護は、その原因となる男を寝惚け眼で仰ぎ見た。
「何・・・?」
搾り出した声は掠れていた。それに一護は不快げに顔を顰める。
「んあ、悪ぃ。水飲むか?」
「ん」
男が起き上がる際に捲くれた布団を寄せて体を覆う。裸の身には何もないと寒い。
一護同様、やはり裸のままの男は何も身に付けることなく堂々と部屋を歩き水を取ってきた。
起き上がった一護の剥き出した肩に己の白い上着をかけてやり、わざわざペットボトルの蓋を開けてから水を渡してやる。その仕草はいちいち優しく丁寧で、男がどれほど一護を大事にしているのかを感じさせた。髪と同じ水浅葱の瞳が溶けそうなほど穏やかで優しい。
「・・・ストーカー」
「あ?どうした?」
ぼそり、夢を思い出し呟いた一護に対し、全く夢通りに返したこの男。
懐かしい夢を見た、と思う。自分たちがこんな関係に至る切欠ともなった出来事。ふらり現世に現れたと思えば、突然抱えられてそのまま奴の住処へ。抵抗する間もなく熱烈な告白をされて・・・
あーどんどこしょー。気が付いたときには一線越えていた。
喉を潤す役目を終えたボトルを一護の手から取って蓋を閉め、寝直すように布団に潜り込む一護の肩から上着を取り上げてと、甲斐甲斐しく世話するグリムジョー・ジャガージャック(破面)。
世話を終えた彼の逞しい体に布団の中で抱きかかえられて、微睡みながら一護は自分自身が何度そう思ったか分からない事実を呟いた。
「うまく喰われたなぁ・・・」
「んあ?」
小さすぎた言葉は布団に埋もれて、上手い事グリムジョーの耳には届かなかった。
男は狼なのよ 気をつけなさい〜♪