握られた手の冷たさは一護の手を握っても尚温度を感じさせない。
ズンズン歩く彼はいつのまにか知らない廊下を進んでいた。薄暗い廊下には一定間隔で備わる窓から漏れ込む僅かな明かりしかない。

「・・・なあ」

長い沈黙に耐え切れず、そして何処へ向かっているのか分からない不安さも手伝って声を出した。自分達の足音しか響かなかった廊下にしぃんと声が浸透していく。

「どこ、行くんだよ・・?」

一歩前を進む白い頭を伺い見る。彼は足を止めることなくチラリと横目で一護を見やり、笑った。



「イイところ」



口内をぐちゃぐちゃ掻き回る自分のものでない舌は何故か不快に感じず、むしろ快感が背筋を走る。一護の甘さを含んだくぐもった吐息が漏れるたび、彼は嬉しそうに目を細めた。いやらしい水音が嘘みたいに響く。
恥かしい恥かしい、でも気持ちイイ。
口の周りは互いの唾液でぐちゃぐちゃ。うまく呼吸が出来なくて息も上がっている。顔だってきっと真っ赤だ。頭の中はくらくらくらくら。何も考えられない。痺れてる。

「ん、ふっ・・・ぁ・・んんっ」

甘い声が頭に響く。女みたいに高い声。
これを俺が出してんの、なんて嫌になる。でも気持ちイイ。
体全体が熱くて堪らない。だけど一護の体を抱く男の体はやっぱり冷たくて、それがまた気持ちイイ。口内を遠慮なしに暴れまくって、舌の付け根も歯の裏側も舐めとる青い舌。熱くはないけど体ほど冷たくもない、ヌルイ舌が熱い舌を絡めとる。くっ、と吸われると頭の中が真っ白になった。

「ぅ、う・・・っふあ・・ぁ」

気持ちイイ気持ちイイ気持ちイイ。


このままキスに殺されそうだ。















バチッ。強い音がしそうなほど勢い強く瞼を開いた。

何だ今のは何だアレは何だ何だ何を見ていた!?

混乱する頭の直ぐ後ろ、ククッと低い笑い声が聞こえた。


「欲求不満か?」


ベッドの上を数センチ浮いて胡坐を掻いていた白い俺は、ひどくオカシそうに笑い寝転んだままの俺を見下げていた。

「ち、チガウ!!」

真っ赤な顔が叫んだ。





ヤーメーレー・・・。