――ちょいエロなリボツナで10の御題――
V 死と隣り合わせ
―――ズガンッ
五分程前まで書類云々のために居座っていた奥の部屋から、聞き慣れた銃声が響いた。
反射的に駆け出した足は同じく長い廊下を銃片手に走る仲間すら追い越す。
心臓の乱れた音が喧しくて堪らない。
長く感じる廊下、遅く感じる足、この状況全てに苛立つ。
速く。
速く。
速く。
「っ、はあっ」
珍しく乱れた呼吸や着衣、途中で落としてしまったであろうトレードマークの帽子。
どれにも構わず目的の部屋に集まっていた小数の仲間を目で退かし、室内へと入る。
「ぁ、リボーンさん・・・」
とにかく短気だった昔に比べ、今はだいぶ大人で冷静的になった獄寺が中で指示を出していた。
高いマットの上に散乱した書類と、染みこんだ赤い血。
倒れこんだ数分前までは仲間であったヒットマン。
リボーンにはそれだけ確認できれば十分だった。
仲間の裏切りなんてこの世界では珍しくもなんともない。
それがファミリーのボスを狙うなんてのは、尚更だ。
「ご苦労だった。ツナは」
獄寺の落ち着きようから見て、俺が特に心配するようなことはないだろう。
リボーンはそう判断した。
これでようやく喧しかった心臓の音も収まる。
「今は寝室にいらっしゃいます」
疲れたように安堵の笑みを浮かべた獄寺はそう言い、寝室への扉を見た。
ファミリー内ではダントツ、ボスである以前に友人でもあるツナを信仰しているこの男のことだ。
この部屋から銃声が聞こえ血を見たとき、どれほど肝を冷やしたことか、容易に想像出来る。
事実、未だ彼の眉間には普段の倍皺が深く寄せられていた。
「獄寺、ここの始末が済んだら休め。それからツナに報告しろ」
獄寺は確か、今朝までの大事な仕事を任せていてずっと徹夜状態だったはず。
ツナが無事なら報告なんぞ休んでからでいい。
その方がツナ自身も安心する。
「ええ、分かってます。十代目にも言われましたから・・・」
そう苦笑しながらも、獄寺はどこか嬉しそうだった。
寝室へ繋がる扉を開き中へ入ると、護衛のため待機していた仲間はリボーンと入れ替わるように外へ出た。
背後で扉が閉まると、白い天幕に覆われたベッドへと音もたてずに近づく。
「ツナ」
一声かけ相手の返事も待たずに邪魔な天幕を引いた。
「あ、リボーン・・・・・帽子は?」
「・・・・・」
やはり傷一つ負わなかったのだろう。
暇そうにベッドの上で胡坐をかき座り込んでいたツナは、リボーンを見上げるなりそう口にした。
お前が心配で帽子落とすぐらい必死で走ったんだ、なんて。
口が裂けても言えるはずなどなく。
「いっぺん死んどけ」
にやぁと黒い、嫌な笑みを浮かべた。
「え・・・」
あれ。もしかしってコレってヤバい?
脳内でカンカン鳴る警鐘に冷や汗を流したツナはそのまま、問答無用で広いベッドに倒された。
「んっ・・・・ぁ、んんっ」
深く深く口付けされながら「ごめんね」と、ツナは黒衣の身体を抱きしめた。