――ちょいエロなリボツナで10の御題――
\ 血
珍しく一人ぼっちの帰り道。
一人きりで気が緩んでいたせいか、足元の小さな石ころに足をとられ転んでしまった。
「いっ、てー・・・」
久々だ、こんなの。
ダメツナと呼ばれ転ぶ殴られるは当たり前だった俺も、最近はそんなことなかった。
本当に、いつの間にか。
周囲の自分を見る目は変わっていて、自分自身も良い方向へと変化していた。
皆のおかげで。
獄寺君は俺に勉強を教えてくれて、そして初めての友達になってくれた。
山本はあの快活さで内気な俺をどんどん外の世界へと引っ張ってくれた。
リボーンはそんな俺の大事な友達と、形はどうであれ引き合わせてくれた。
そしてダメな俺を認めて、強く変えてくれた。
「痛いな・・・」
久しぶりに自分の不注意で負った傷。
ああきっとリボーンに怒られる。
でも、ズキリと痛む傷は、生きている証。
俺はそういう“生きる証”を大事にしたいと、最近思うようになっていた。
学校から帰宅すると必ず誰か一人はいるようになった、きっと今日も騒がしいであろう我が家の戸を開く。
だが不自然にも、家の中からは話し声はおろか、物音一つ聞こえない。
「母さぁーんっ」
靴を脱ぎながら声を出すも返事はなく、静寂だけが広がった。
珍しく思うのと同時に、怖ささえ感じるくらいの静けさ。
首をかしげ台所へ行くと、やはり奈々やランボ、イーピンすらいない。
出掛けるにしたってメモの一つもないのはおかしかった。
「ツナ」
不意に呼ばれた気がして後ろを振り向けば、台所の戸口にリボーンが立っていた。
「リボーン、母さんは?」
「ママンなら皆と買い物だぞ」
「そっか」
メモがなかったのはリボーンがいるからかと一人納得していると、そのリボーンが足元へと近寄って来た。
そしてまだ小さな手でツナのズボンの裾を掴むと一言。
「脱げ」
「へ・・・?」
何で?
純粋にツナはそう思った。
「お前、血の匂いがするぞ」
「あ。ああ・・・」
転んだってこと、忘れてた。
そしてまさか血が出ているだなんて。
リボーンに言われた通りズボンだけを脱ぎ下はトランクスだけの、不本意ながらもう慣れてしまった姿になる。
すると本当に、左足の膝小僧から僅かながら血が出ていた。
どうりで痛いはず。
「座れ」
床を示され、「うん」と素直に座り込む。
両足を伸ばし傷を見るように前屈みになって座ると、リボーンがそっと左足に触れた。
何も聞かず黙ったままリボーンを見ていると、彼は一度その顔に笑みを浮かべ、そのままその小さな口を俺の足に近付けてくる。
「あ」
小さな舌が傷に触れ、僅かな血を舐め取った。
ピリッと小さく痺れるような感触がある。
リボーンは一度で終わりにしなかった。
もう血の出ない傷をペロペロと小さく、アイスでも食べているかのように舐める。
そのたびにピリリと傷が小さく痛んだ。
「リボーン、何してるの?」
小さな痛みと、無意識に湧き上がった背徳感から、ツナはリボーンのこの行為を止めようとようやく口を開いた。
「痛いよ。リボーン」
その言葉を聞きピタリと動きを止めたリボーンは、そのままツナの傷を見続ける。
リボーンの唾液に濡れた、血の消えた傷。
満足そうな幼い顔は、「フッ」と大人びた笑みを浮かべた。
「ツナ、これは消毒だ」
ああ、成程そうなんだ。
ツナは素直にそう思った。
小さい頃、ちょっとの怪我なら唾をつけて、これで治ると思っていた記憶があったからだ。
「でも今から、いつもと違う勉強をするぞ」
「いつもと違う?」
「ああ。やっておいて損はない勉強だ」
そう言うとリボーンはそっと静かに、ツナのトランクスへと手をかけた。