何だかんだなし崩し的に両想いが発覚し、公道でお付き合いを決めた。
あれから二週間。





歌うは語り部なりて。





ぴくりとも動く気配の見えない黒電話を前にして、銀時はただ虚空を睨んでいた。三日前からずっとこの調子なのはさすがに放ってもおけないので、何度か新八や神楽が声をかけたものの

「ん、ああ。何でもない」

いつもと変わらない笑顔ではぐらかされてしまう。どう見たって「何でもない」なんてことない。こうなったらアレだ、アレしかねえ。原因は確実にニコチンコだ。

「アイツはなにヤってるネ」

「なにもヤってねェ」

憤った末に一人屯所へ乗り込んだ神楽の前では、やれやれと溜息吐く沖田が愛用のアイマスクを振り回している。お互いに呆れ返った顔。二人の間には書類を片手に黙って青筋立てた張本人が。

「全く、こんなんじゃ銀ちゃんやれないネ。パパ失格ヨ」

「お父さん!新しいお母さんが逃げちゃいますぜ!」

「お前ら何の遊びだオイ!」

さすがに黙っていられず声を荒げた。目線の先には明らかに見下した笑みの悪魔二人。

「お父さん、お願いでさァ。死ね」

「パパ、お願いアル。死ぬ前に私に酢昆布献上しろや」

「お願いか?恐喝じゃねえのかコレは。逮捕するぞお前ら」

くしゃり。音をたてて書類に深い皺が寄る。
小規模ながらも立て続けに行われたテロと、重なるように起こった天人のドラッグ事件etc・・・。それらの事後処理、上への提出書類の作成に確認作業。暇もなければ休みもない。吸殻の積もった灰皿と着崩れた服、据わった目の下の酷い隈。

「総悟、お前、暇そうだな」

自分はこんなにも酷い状態なのに、なんで目の前で毒吐く部下はいつも通りの小奇麗なままなのか?

「はは、お父さんにたくさん働いてもらおうという健気な息子の気持ちぐらい
察してくだせェ」

「お前の仕事が俺に回ってんのかァァァ!!」

「ママがパパと会えないのお前のせいじゃねえかドS野郎ぅぅぅ!!」

敵はすぐ隣にいた。