騒々しい隣人、10の悪行





「突撃隣の朝ごはーん!!」

「・・・え?」

ノブは触れる前に回り、勢いよく外へと扉が開いた。
明るい空を背に立っていたのは見知らぬ男。
さらり、風に揺れて鮮やかな銀の髪が煌く。
にっこり満面の笑み。
同じ目線。

「はい、どうぞ!」

元気な声と共にグイと顔の前に押し付けられた・・・

「酒?」

「オススメだよ“鬼嫁”!」

咄嗟に両手で受け取ってしまった一升瓶。
まだ未開封のそれには確かに“鬼嫁”のラベル。

え、だから?

「誰だ、お前」

「え?」

至極最もな質問をした俺に対して、男はきょとん。
朝から男二人、首を傾げて対面する妙な構図が出来上がった。
数度瞬きをして、男の赤い目が動く。

「ああ、そっか、そっかぁ・・」

それだけ言って一人納得したように何度も頷く。
語末にはなんだか残念そうな響きがあって、妙に気になった。
見えない状況に自然と眉を顰めれば、男は慌てたように謝罪する。

「あ、ごめんごめん!俺ね、俺・・」

気を取り直したように、ニッコリ。
不本意にも見惚れてしまいそうな、男であろうと素直にキレイだと思える笑顔。

「俺、坂田銀時ってゆーの!君のね、」

そこで男の白い指が、一つのドアを指した。
隣りの扉。
俺が今の今まで乗り込もうとした先。
迷惑な隣人の部屋。
そこを指して男は、

「君のね、お隣さん!改めてよろしくね!」

「・・・・・」

「・・・あれ?ねぇ、あの・・」

「よろしくなんて出来るかぁああああ!!」



07.一升瓶を持って押しかけてきた