騒々しい隣人、10の悪行
沈んでいた。
これ以上ないってくらいに、沈んでいた。
『俺、坂田銀時ってゆーの!君のね、お隣さん!』
なんて明るく挨拶してきた男が、昨日の今日で沈みまくっていた。
何故か俺の部屋で。
「お前、なんだよ・・」
人の枕を抱えて部屋の隅、じっと座り込んだまま動かない。
この男の「よろしく!」という声に怒鳴り返した。
夜中の掃除機や下手糞なギターなどの騒音。
極めつけの壁ノックに対しても怒りが続く限りに怒鳴った。
それでも何が楽しいのかヘラヘラ笑っていた男が、今日になってコレだ。
「オイ・・・オイ、こら、天パ」
いい加減にしろ。
何も言わないで人の前、沈んでます落ち込んでますなんてポーズをとるな。
正直言って鬱陶しいだけなんだよ。
慰めてほしいなら何か言え、何か示せ。
分かってほしいなんて一方的に思われたって困るだけだ。
「オイ、天パ・・・坂田、何か言えや」
その声でようやく枕から上がった顔。
赤い目が潤んでいた。
まさか、泣いたのかコイツ?
驚いて思わず、思わず、
「大丈夫か?」
らしくもない優しい声で、予想以上に柔いその銀の髪を撫でていた。
08.たまには落ち込むこともあるらしい