せんせえ、すきです。





一昨日から新学期が始まった。恒例の夏休み明け実力テスト(という名のサボり点検)で行ったバツばかりのひどいテスト用紙を返却し、今は担当教科である国語の答え直しをしている。わざわざ実力テストなんぞのためだけに新しい問題を作るのも面倒だったので、国語のテストは夏休みの宿題で出した数枚のプリントそのままに出してあった。それでも半分も点を採っていない馬鹿がクラスの大半を占めているのは何故だろうか。集団で担任いじめですかコノヤロー。


「・・・・・ぁ。スゴイ」


職員室での採点中、馬鹿ばかりの中で唯一満点を採ったテスト用紙を見てつい言葉が漏れた。右上に赤ペンで“100点”と大きく描く際横目に見たその名は、間違いようもない例の生徒。先日この俺に、同性の先生に、「先生、好きです」と告白をしてきた、土方の物だった。嬉しい反面、複雑な気分になってしまったのは許して欲しい。
そんな土方君だが、只今絶賛睨みつけ中だ。土方君が、俺を。

「問3は三択。つまりABCのどれか一つで埋めときゃ三分の一の確立で当たるんだよ」

「おお!そいつぁ思い浮かばなかったネ!」

神楽が驚きの声を上げたのを合図に、じわじわとそこかしこで「おお!」や「なるほど!」などと馬鹿丸出しの声が聞こえる。だが眼光鋭い(もう目で人殺せんじゃね?)土方は口を開くことなく俺を睨んだまま。この状態が今朝からずっと、今の四時限目まで続いているとなると、どうにもこちらだって居心地が悪い通り越して気分が悪い。

「次、一番間違いが多かった問6だけど・・・高3にもなって四字熟語知らねぇのかよオイ」

「センセー、俺のここ当ってると思うんですが?」

「ぁあ?ここってどこだよ沖田ぁ、言ってみろ」

「問6の2、焼肉て「はいお前ちょっと放課後残ろうな。ちなみに答えは弱肉強食でーす」

「「「マジでか!?」」」

「はいマジでーす。今反応したゴリラと神楽も残ってくださーい」

「「ぇえええーっ!?」」

こうして他愛ない話をしていると視線がギンッと強まるのが分かる。苛立ちを含んだ、それでいて熱い視線。俺はそれに気付かないフリをし続け、お馴染みの鐘の音がようやく今日の終わりを告げた。





せんせえ、すきです。





ああ、
なんて
痛い
その
想いだろう。