せんせえ、すきです。





授業終わりの騒がしい教室内。生徒たちがそれぞれに帰って行く中教壇に置かれた教材や出席簿を脇に抱えて、教室を出る。

「おーい、多串くーん」

「っ・・・・・何すか?」

「うん、ちょっとおいで」

教室上部の扉で体を廊下に出したまま、手を使っておいでおいでと呼んだ。今は鋭かった眼光も戸惑ったような、困ったような弱弱しいものになっている。全く、困ったのはこっちだよ。どうしてこうも態度が変わるのだろう。どう対処していいのか分からない。
まだ大半の生徒が残っている放課後、話す内容がアレなので自分がサボる時に使用する少し埃臭い資料室へと引っ張った。

「何で呼ばれたか、分かるよね」

「はい・・・」

弱い視線は逸らされている。あれだけ強く見られていたせいか、向けられない視線がなんだか淋しい。
・・・こっち、見てよ。

「・・どうしたの?」

心が焦ってる。何かが終わっちゃいそうな、不安。
待ちくたびれた?
俺のことなんかもう好きじゃない?
やっぱり一時の勘違いだった?


・・・・・あれ。俺ってば何考えてんの?


あ。なんか気持ち悪い感じ。

「俺、・・つい」

ボォっと見ていた土方の口が動いた。

「ぇ・・?」

「俺っ、ついイラついて・・・待つって、格好つけたけ、ど・・!」

やっぱり待てない。
そう言われて、可愛いこの生徒に俺も惚れているんだと、ようやく気付いた。





せんせえ、すきです。





ああ、
なんて
若い
その
激情だろう。